塩野七生 氏の存在
塩野七生(しおの ななみ)氏、歴史作家、イタリア在住。
どんな本か読んでみたい。「チェーザレ」は高校の図書室にあり、「女たち」は書店に文庫本があったので購入する。硬質な文章で、私の好みだった。「チェーザレ」はローマ法皇の庶子として時代を駆け抜けた男の物語。
⋯⋯あああ! 惚れるわ、チェーザレ!!
青池さんは彼のような人物を描いてみたかったと言う。
なるほどねー! 納得。
以降、私は塩野七生さんの本も読む事となる。
チェーザレも登場する「神の代理人」「わが友マキアヴェッリ」、特筆する個人でなく政治システムで国家を維持しようと考えた「海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年」、「コンスタンティノープルの陥落」「ローマ人の物語」などなど。
歴史物は頭が痛くなるという人には、史実を背景にした小説
「緋色のヴェネツィア 聖マルコ殺人事件」
「銀色のフィレンツェ メディチ家殺人事件」
「黄金のローマ ローマ法王庁殺人事件」の3部作をお勧め。
サスペンスとして読めるんじゃないかな。脱線した。
しかしながら塩野先生、マンガはお好きでは無いようだ。
随筆「男たちへ」第40章セクシーでない男についての考察 では、電車の中で分厚いマンガ雑誌を読む男は男として認めないと、おっしゃる。中身の薄いアクションマンガを指しているようだ。甘々の少女マンガを読む女も性格の成熟度に憐れみを感じているご様子。
ただ内容に深みのある物はよろしいらしい。ご年齢的な環境として、深みのあるストーリーマンガは、あまりご覧になった事は無いのではないかと想像する。
実は何人かの女性マンガ作家が自身の著作物を読み、それに触発されて作品を描いているなんて、ご存知無いんじゃなかろうか?
これについては、また次回の「KILLA」の項でも。
余談:惣領冬実先生「チェーザレ ~破壊の創造者~」(モーニング不定期連載)もあるが、こちらはイタリアの作家・翻訳者・学者・辞書編集者のグスターヴォ・サチェルドーテ (Gustavo Sacerdote 1867-1948) の Cesare Borgia を下敷きに描かれている。
キリスト教社会と神に対する問答が延々と続く事もあって、これはこれで青年マンガ誌で読者にウケるんだろうか? と不安になる。モーニング編集部、勇気あるな。
大学編は1〜2巻で終わるかと思ったら、現在12巻でようやくコンクラーベ(法皇選)、
この分だと控えめに見積もっても、あと20巻は必要かな。
(余談の追記:2022年1月)
昨年11月、調べ物をしていたら、偶然に「チェーザレ聖地巡礼」というページを発見。惣領先生の「チェーザレ」ファンの方。おお!すばらしい、とコメント残そうとするがコメント欄は無い。
同じBloggerでテンプレートQooQという点でも親近感があり、感想メール差し上げる。嬉しいことに青池さんの「エル・アルコン」を電子購入してくださった。何度かメールをやりとりできて、楽しかった。セイナニティLog 基本はゲーム中心のブログ。
【チェーザレ聖地巡礼】事前準備① 漫画の魅力・日程・行き先を考えた
単行本加筆修正の部分
さて前回でも触れたが「エル・アルコン」は単行本発行にあたり、大幅な加筆修正がなされている。連載時のページ数では描き足りないとの作家の愛だ。
どんな風に加筆されたのか、ファンとしては当然気になる。高校生当時、私が入手できたのは同時収録の続編「テンペスト」前後編掲載の月刊セブンティーン2冊。見比べれば結構色々描き足し、描き直しがあった。
記憶にあるのは海戦中のカットを増やしページがズレ、左右ページが逆になったのを上手く修正している部分とか、スペインに引き渡した女海賊ギルダの乗る船を見送るティリアンの少女マンガ風の正面カットが、岩場に立ち、海の彼方を見つめるロングカットに変わった。砲弾とロープを、のシーンも帆船シーンが増えてたかな。
印象深いのはギルダは何度か怒りながら悔し涙を流していたが、単行本はホワイトでそれをほぼ消し去り、命尽きる時、涙が落ちる。「笑うがいいわ ティリアン」に続く自虐的なセリフ「笑ってよ おかしいでしょ」(と記憶している)は、削除された。彼女の気高さと涙の価値を上げた。
かなーり前に雑誌は処分してしまったので、掲載誌は手元に無い。今思えば残しておけば良かったかな。対立の立場でなければ、殺し合いでなく・・。愛に発酵する事もなく、終わった関係。
彼が愛したのは、海。母なる海とも呼ばれ、時に非情に荒くれ、人を呑み込んでいく大海。そのすべてを支配したいと願った男。彼の人生においては女など、彩り程度にしか存在しないのだよ。
「エル・アルコン」は79年発行の単行本の他、マンガ文庫も後に出版されているが、これに限らず文庫本は勧めない。デジタル? マンガも本も私は紙派!
マンガは絵が命! 文庫サイズの小さな世界は、写植は小さいわ、細い線は潰れるわ、迫力は無いわ、絵の要素が阻害されすぎる。
一番新しいのがソフトカバーの豪華本「エル・アルコン -鷹- 完全版」2012年発行。表題作の他、ゴージャスに「七つの海七つの空」「テンペスト」が、物語の時系列順にすべてを網羅した1冊!
税別1,900円。安い! でもブ厚すぎて、扱うのにちょっと読みずらい。
せっかくの1冊だが、不満は経費削減か本編のタイトルロゴが、ただのデカい写植な事。オリジナルのロゴは使えなかったのか? 新たにロゴを作ろうとは思わなかったのか。
中の見開きタイトルページ、写植の貧弱さが見開きの見栄えを悪くする。せめて、もちょっと合いそうなフォントにしてくれ。あー、違うフォントだと別料金かかるから? せこいよ!
ティリアンは完璧すぎて、妄想などできるはずもございません。
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青池さんとはまったく関係ないんだが。
私はイギリスの音楽グループEurythmics(ユーリズミックス)を長年愛している。彼らの「Here Comes the Rain Again」のビデオクリップを初めて観た時、リアル・ギルダだっ! なんて事を思ったのは私くらいか。雰囲気、すごく合ってんの。
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