コミケ102に一般参加してみた

2023/08/25

雑記 - 創作関連

 この夏、コミックマーケット、通称コミケに行ってみた。テレビニュースでも放送されるほどの大規模な同人誌即売会。一般来場者の事は「一般参加者」と言うらしい。私は初めてそれになる。
 コミケ、会場が晴海だった頃、知人と言うか友人と言うか⋯⋯中学のマンガクラブの先輩達(男3人)の同人誌の売り子の手伝いで行った事はある(中学卒業後も年に1回くらいは会ってた)。私は高2か、高3だったか。
 先輩達のはアニメ系の同人誌、だったと思う。いくつかのアニメのファンアートが中心の。別にエロは無かったな。無かった⋯よな? ちょっと、お色気程度で。
 はっきり言って、コミケの記憶はほぼ無い。私が同人誌に興味が無かったというのもある。自分にとっては「同人誌 = ファンアート、パロディ」的な認識であり、元の作品が良ければいい、別にファンアートとか関心は無かった。オリジナル作品の同人誌もあるのだろうが、インターネットなんて無い時代、わざわざ調べなきゃ知らないじゃん?
 なもんで、途中で売り子をチェンジして「他のとこ、見てきていいよ」と言われて、さらっと周囲を見回っても特に目を引く物も無かった。
 だからサークル参加の手伝いはしたけど、覚えて無いのだ。うっすらある思い出は人の多さくらいか。

 あれから幾星霜。自分が二次創作に手を出してしまい、ちょっと同人誌に興味がわいた。そのお祭りとも言えるコミケ、行ってみようかと思い立つ。会場で開催される、少年ジャンプの元編集長とコミケ準備会の人たちのトーク・ショーは聞きたいし。
 ちょうどマンガの貸し借りをしている妹が家に来た時「私、コミケ行ってみるわ」と伝えた。すると私よりもコミケ慣れしている妹は、あれこれと作法を教えてくれる。
「そうだなあ、私が前にコミケに行ったのは15年くらい前かなぁ」なんてね。

 コミケカタログを買い、中をながめ、40周年なのにウラシマン関連が無いのを悲しみつつも、じゃあどこを見ればいいのかとページをめくる。うーむ、特にこれといって興味をそそるのは見つからない。まあ、古いアニメ系とか手作りアクセサリーとかはちょっと覗こうかな、くらい。まあいい、トーク・ショーを目的に行けばいいのだ。あとはコミケの雰囲気を味わう事、かな。
 かくして1日目の午前入場(11:00〜)のリストバンドを購入する。

かぶるはずだった帽子
忘れた帽子。扇子は重宝した。

 さて当日、午前入場の来場目安は10時とある。電車を乗り継ぎちょうど10時頃に、りんかい線「国際展示場」駅に着く。トイレは乗り継ぎ駅で済ませておいた。駅だけでも、すごいね、人の波! だが、とりあえず事前に調べておいた駅前の喫煙所へ向う。電車を降りて、ようやくタバコが吸えるから!
 そして人々の進む方向へ歩き出すのだ。道の途中途中で運営スタッフが指示を出し、満員電車のごとき人の波は粛々と歩むのだ。
 今までで一番暑い夏、と言われるこの夏、午前中すでに強い日差しがジリジリと肌にきつい。準備しておいたのに帽子を忘れたのは失敗であった。家から駅まで車なもんで、帽子を忘れた事に気づくが手遅れなんだな。バッグから扇子を取り出し、パタパタあおぐと共に、信号待ちの時は日差しを遮るように頭上にかざす。(もちろんウラシマンのTシャツは着用済み)

ネクライム側のTシャツさ

 のろのろと行進を進める人の塊は、やがて待機場所と言われる広場(駐車場?)にたどり着く。駅からここまで(喫煙休憩含めて)約30分。
 ややもすると、しゃがみ込むように指示された。私の前列の男性はバッグからミニ折りたたみ椅子を取り出し座った。用意がいいな。一度はしゃがむが、この状態で待たされるのか。
 地面のコンクリートは熱を帯びて、足元からもわんとした熱気を感じる。このままだと熱中症になりそうだし、長時間では古傷の左膝に悪い。私は立ち上がった。他にもチラホラと立ち上がっている人もいる。恐らくはスタッフが遠くまで確認しやすいようにしゃがませるだろうが、地面から低い方が熱が溜まり、待つ方にはかなり熱中症の危険があると思う。実際、途中で体調の悪くなった人もいたようで、スタッフが介護に行っていた。
 待ち時間に日傘があった方がいいのでは? と妹に尋ねたが「それは危ないからやめた方がいいと思う。周りから非難の目があるかもしれないし」との返答で、日傘は諦めた。だが、実際には意外と日傘、あるいは台風が近づいているための用意もあってか雨傘を差している人も多かった。自分の体感では日傘・雨傘含めて、3割くらい開いていた。まあ「移動時には傘は畳んでください」とのアナウンスはあったが。

 返す返すも帽子を忘れた事が失敗だ。UVカットのサングラス、感染防止のマスク、しかし額は日差しの中! オデコだけ日焼けしちゃうよーと、扇子で日除けを作るくらいしか手段が無い。(結果としては特に気になる程の日焼けしなかったけど。日焼け止めとUVカットのファンデーション、有能だな)
 暑いとは言え、すぐそばは海。時折吹いてくる海風が気持ち良い。マスクの下の顔は汗だくだくではあるが。ちなみにこの日の東京都(千代田区)10時は気温29.6度、湿度83%であった。

 私は基本、並ぶのが嫌いだ。人気飲食店に並ぶとか、アミューズメントパークで並ぶとか、めんどくさい。数時間も並ぶなんて冗談じゃない。
 が、今回こうして並んでいるのは「これもコミケの経験の内」として、自分なりに納得しているからだ。
 小さめの保冷バッグに入れた凍らせたペットボトルの緑茶は、まだ溶けずに少しのお茶と大きな塊が残っている。パウチタイプの、ソルティーライチとアクエリアスの方は触るとジャリジャリしているが、溶けきったわけでも無い。適度にお茶を口にし、塩分タブレットを舐め、ひたすら巨大な列が動き始めるのを待つ。

 ようやくビッグサイトの中に入れた時には、すでに昼の12時。駅到着から2時間か。早々にトイレに入り、用を足し、マスクの下で崩れまくっているであろう化粧を直す。そして⋯⋯喫煙所へGO!

 ひと心地ついて、眺めようと思っていたあたりへ歩き出す。色んな人、色んなサークルがあるなあと歩く。コスプレした人も歩いてたな。目当てのトーク・ショーは開場14時、開演14時30分なので、それまでの時間しかない。購入希望のサークルがあるわけじゃなし⋯⋯と思っていたが、展示棟の移動に時間がかかる。混乱を避けるため、通路が一方通行になっていたりして、最短距離で移動できないのだ。こんだけ人がいれば仕方無いのか。
 東展示棟を後にして西展示棟へ向かう途中で、昼食どうするかなと思う。通路の両側にいくつかのレストランはあったが、当然満席。時間も無いし、どこかで持参のカロリーメイトでもと思うと、ちょうど目に入った、屋台のフランスドック。フランスパンにソーセージが刺さってるやつ。ちょうどいいやとサルサ味を注文、その先の喫煙所のある屋外へ。
 いくつかの休憩用テーブルセットもあり、すでに買い物を終えた人々が戦利品を見せ合い、あるいは整理していた。空いてる椅子があったので、私は休憩アンド先ほどの品で昼食。耳に入る青年達の会話は、
「いくら使った?」
「×万くらいかなー」
 いやいや、すごい情熱やー。

 食事をし、水分とニコチン補給を済ませ、西展示棟の企業ブース眺めたあたりで14時近かった。あ、やべえ、と今度はトーク・ショー開場の会議棟へと移動(南展示棟の企業ブースを見るのを忘れた)。1階の会場へはどー行くんだあ、と思ってたら会議棟にエレベーターがある。こっちか、と歩き出した所で脚が、つった。水分不足の脱水か、歩きすぎか。まだ残っている飲料を飲み、エレベーターホールの手前で、壁に手をついて脚を伸ばしてみる。そんな事を数分。
 治ったあたりでエレベーターの前に着くと、ホールに置かれた長テーブルで何かをしていたスタッフの青年が声を掛けてきた。多分、さっき脚を伸ばしてるの、見られてたな。
「何階ですか?」
 あ、えーと2時半から開催の⋯⋯
「ああ、1階ですね」
 と、下向きボタンを押してくれる。
「今までは一般にはエレベーター、使わせてくれなかったんですが、今回はOKなんです」
 あれ? エレベーター以外もあったんだ。ありがとう、スタッフのお兄さん。
 他の棟と違って会議棟は人が少ない。というか降りた1階は、シン、としてる。ほどよく効いた冷房の、静寂。トーク・ショーは、あまり人は来ないのかな? 収容人数もどれくらいか不明だったので、人がいっぱいで入場できなかったら困ると思って早めに来たんだけど。それでも14時を少し過ぎたくらい。

『コミックマーケット100回突破記念スペシャルトークショー
 同人誌 VS 商業誌 〜壇上に出会いを求めるのは間違っているだろうか〜』

出演は、
「週刊少年ジャンプ」元編集長として超有名な 鳥嶋和彦 氏
 コミケ初代代表 霜月たかなか 氏
 コミケ共同代表 筆谷芳行 氏
ですよ。
 これ、面白そうじゃないですか!

 というわけで、私はまだ人の少ないレセプションホールへ入場。感染対策か、席はびっちりでは無く、長テーブルに椅子は3つあれど、真ん中を空けて2人ずつの着席という状態。入場順に席を指示される。今日はものすごい数の人間を目にしてきたので、急に人の少ない静かなホールに落ち着いて、落差が激しい。
 やがて定刻になり、壇上に本日のゲスト達が現れる。
 まあ、なかなかでしたよ。商業である以上、売れる作品を作るのが最優先の商業誌と、自分の思いを形にしたい同人誌と。とはいえ、共同代表の筆谷氏も商業誌の編集やってきてる人なんだけどね。想いが熱いな。
 私は客席の前方寄りであったが、目に入る客席、全体的に年齢層が高かったような気がする。いや、自分もそうだけど。
 後ろを振り向くような事は無かったので、聴衆がどれほどか不明だったが、どうやら立ち見もいたそうな。良かった、早めに入室してて。


 トーク・ショー、終了は16時。つまりコミケの終了時間。お疲れ様。しっかり効いた冷房で、体の汗が冷えて寒かった。
 そう、コミケの終了時間。つまりまた人々の波にもまれて移動となる。最寄り駅ですら、スタッフが指示を出して人波をコントロールする。すごいねえ、こんな巨大なイベントをボランティアで開催してるんだから。この日は13万人、翌日も同様、計26万人がコミケ参加者だって。ほんと、スタッフの方々、お疲れ様です。
 コミケ、なかなかの経験だったよ。

 帰りに神保町のカフェに寄る予定。久しぶりに行きたくなった店。10年東京に住んでたけど、馴染みのあるカフェはもうここしか残ってない。
 週に1、2回のカフェは入居してたビルオーナーの都合で閉店せざるを得ず。
 ほぼ日参してたカフェはマスターの年齢により閉店。
 これから行く店は月に1、2回くらいなので常連とは言い難い。でもコーヒーは飲みたいし、ケーキも食べたい。
 しかし! 怒涛の帰り道、ビッグサイトから神保町のカフェにたどり着いた時は、ちょうど18時くらい。2時間かかった! 1時間くらいで行けるかと思ってたんだが、甘かった。
 久しぶりの神保町は風景が変わり過ぎて、迷子になったかと思ったよ。
 でも変わらずにある店が嬉しかった。
 コーヒー美味しい。たまんないわ。
(もう店内でタバコは吸えないけど⋯⋯)

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